2020年に触ったカメラ

前回のLUMIX Gの話 https://anought.hatenablog.com/entry/2020/08/28/080051 の続き。 構成が固まってきたのでこのメモもそろそろ最後にしたい 。(フラグ)

2020年は実用面ではG100が出てくれて本当によかった。45/2.8 DG DNを介してフルサイズの絵というものを意識し始めた部分もたぶんある。 LUMIX S5やEOS R6などのデザインが好みなミラーレスカメラが出て、手元に置くまではいかないが、とても盛り上がったように思う。まだ浮かれているのかもしれない。

現状

  • 標準ズーム → (G100 or G8) + G X PZ 14-42/3.5-5.6 で満足した(小さくてよい)
  • 高倍率ズーム → G8 + G 14-140/3.5-5.6 で満足した(主に25-100/4.2-5.5の部分、結果をみたら不満はなかった)
  • 単焦点をどれか一本 → Sigma 45/2.8 DG DN がいい感じ(パノラマもトリミングもできる)

ボディは、こまめにカバンから出し入れできる状況であればG100、ずっと手に持って撮りたいときに撮る場合はG8で固まった。あるいは一眼やってません的な感じにしたいときにG100、現場での操作時間を最小限にしたい場合はG8、という気分で選んでいる。 A7は撮りたいものが決まっているときとか舐めプができるとわかっている(時間に余裕がある)ときしか持っていけないし、人通りがあるところでカバンから取り出すのも抵抗がある。

1型センサー搭載のコンデジや高倍率ブリッジカメラにも興味はあったが、操作に不自由があった時点でコンデジはG100+GX14-42PZ、高倍率はG8+G14-140に狩られてしまう。右手で操作できるズームレバーはLUMIX Gにもほしい。(といってG6は買い直さない)

LUMIX G100

2020年のベストバイ。期待した通りの仕様で、地雷要素もなく、非常に満足している。

中途半端な動画まわりの仕様が叩かれまくって某番組?で2020年ワースト1位の座を勝ち取った誉れのカメラ。過去の様々なLUMIX Gから要素を合わされて削られて、残った部分はフォルムチェンジを果たしたG7MK2(GX7ではない)として、あるいはRefined GM1/5として、操作性のいい最新の小型スチル機としてとても快適に使えている。起動や操作時の応答が早く、GF9と同じ括りで語るのが失礼なくらい快適に撮影できる。動画はG8でやればいい。(FHD 60fpsしか使わないのでこの辺は違いがわからん)

応答が早く、ボタン機能のカスタマイズが効き、ちょっと面倒な撮影条件に対してもおおよそ自由に操作できる。コンパクトなカメラでは何をするにも不自由しなければならない、操作ステップは多くないといけない、応答は遅くないといけない、というお約束から遠いところにG100はあり、そこがとても気に入っている。

Fnボタン(片手操作時に実用的なのはFn1のみ)の配置はAFLやパワーズーム操作を常用するにはやや苦しいが、電子ダイヤル搭載の軽量機としては指が届く位置にボタンがあるだけありがたい。左肩にFnがふたつあるのもなんだかんだで便利。(GF9では左肩Fnボタンのありがたみは感じづらかった。右手だけでグリップできることが前提なのかもしれない。)アクセスのいい録画ボタンがFnとして機能割当ができたら文句なしに理想的なスチルカメラだったと思う。

買うまで搭載されていたことを知らなかったが、カスタムメニューとSS低速限界設定がかなり便利。今後買うボディの必須機能にしたい。

SS低速限界はソニー機みたいにそのときの焦点距離の逆数からプラスマイナス何段、とかそういう設定もできるようになってほしい。モードが切り替えたくてカスタムモードを要求していたわけではなく、ISO Auto時のSSの管理がモード変更を介さないと思い通りにならないことが原因としてあったことを思い出した。これくらいカメラ側でうまくやってくれよ〜なおこのとき手ブレ補正の効果はn段分とする、という思考にカメラの機能が追いついてきた。人類にISO Autoは早すぎたのかもしれない。(でも感度を逐一調整するのは絶対やりたくない。機械がやるべき。)

さすがにG8には勝てないが、指の引っかかりかただけならG100は軽量ボディの割にかなりよいと思う。 前ダイヤルの感触もとても気に入っている。(E-P5の次に好き) レンズを間違えなければコンデジのサイズに収まるのもいい。さすがに比較したら大きいが、ようやく自分の思い通りに操作ができるXZ-10やP330が出たかと思うと感慨深い。

20MPのRAWに対してSILKYPIXは遅すぎて使い物にならない。有料版は動作速度の改善を保証するべきだろう。(すでに早くなっているのならそれをアピールしてほしい) 自分はExiftoolによるカメラ名偽装とCapture Oneの組み合わせで快適に現像できているが、まともな反映速度の現像ソフトを自分で探す必要があり、そのあたりの敷居が若干高くて不幸なメーカーだなと思う。

年明けを待たずに文鎮になってしまったので今は手元にない。佳人薄命、君は2020年のスピード感についてこれるか。 _(:3」∠)_

LUMIX G8

カメラチョットデキル担当。雑に持ち歩きながらブラブラ撮るときこそ深いグリップとすぐにアクセスできるダイヤルやFnボタンが必要なんだなと理解できてきた。G7が残っていたらウダウダ言いながらもそちらにずっと出番を奪われ続けていたと思う。G100が出てくれたおかげで安心してG7が処分でき、結果的にG8も持ち出すようになったのでよかった。

GX14-42PZをつけるボディ候補の片方として、持ち出す機会は増えた。 G100との間でボディサイズや重量の差はあまり気にならなくなってきた。気にするのはやはりボタン配置で、G8のG100に対して有利な点としては、AFLとFn1, 2ボタンの位置が自然なのでありがたい。不利な点としては下限SS設定がFnから呼び出せないこと。古いので機能がそもそも搭載されてない。上位機のG99は指の届く位置にFnボタンがないので、下限SS設定を頻繁に使いたいのであれば、G8の次はG9かS5かS1ということになってしまう。(のでG100という選択肢があるのは本当に幸いだった。)

Dual IS対応レンズや好きな単焦点にIBISを乗せて使えるメリットがあるが、似たようなサイズ感のA7から出てくる絵が強く、けっこうトリミングできることにも気づいてしまい、立場が若干あやしくなってきている。安心して操作できるのはもちろんソニーよりパナ機だが……。

G8を置き換えるであろうG99の後継機にはワーストカメラ並のFnボタンが配置されることを願っている。(グリシャを見守るエレンの表情)

LUMIX GF9

もう使ってない。起動が遅い、カスタムモードがない、露出補正が片手でできない、電源オフ時にGX14-42PZのレンズ収納が間に合わない(これはレンズ側の個体の問題の可能性がある)。今ならGM1を手放したのは少し失敗だったなと感じる。(GM1も残すと厄介だが)

A7 (ILCE-7)

安価にして今でも貴重な軽量ボディのフルサイズカメラ。古いし不便しかない使い勝手だが、Sigma 45/2.8 DG DN をつけて持ち出すようになり、24MPとはいえそこから出てくる絵に説得力があって非常によい。多少、トリミングしても無理が見えないくらい解像感もある。自分にもMFTの限界が見えてきたかもしれない。

(MFTの余談:画素数がそもそも少ないというのもあるが、MFTはクロップや等倍で眺めると少々つらいものがあり、全体の16MPがあってはじめてそれなりの絵として見られるんだなという認識が強くなってきている。物理的に画素数違いのバリエーションも作りづらいだろうし、大変だなあという感じがする。)

45/2.8 DG DNの嗜好品的な雰囲気がA7の金属ボディと(部分的に)レトロな形状にマッチするところはあると思う。レリーズボタンの押し込みがむずかしいせいかブレがよく出るのと、AFが遅いので丁寧な(あせってはいけない)撮影をやっていくことになり、そのへんが気分的にはDP2の直系という感じがする。

歩留まりはともかく結果は相変わらずよい。写真らしい絵が勝手に出てくる。いや、自分で現像時に調整しているのだが……。 45mmのパノラマ合成で換算35mm程度の絵をつくってもいいし、トリミングで90mm程度にもなるかもしれない。 Eマウントに小型で手ブレ補正搭載のまともなキットズームの選択肢がないため、常用レンズとして使えるものが手元にこれしかないが、まあこれはこれでフルサイズ機をわざわざ持ち出すプレミア感が出ていいのかもしれない。シャッター音もプレミアうるさい。

ボケは、フルサイズのF1.8とかF2の作例を見ていてここまではいらないなと思っていたので、F2.8で手頃なサイズの単焦点が出てくれてちょうどよかった。45/2.8の次はフルサイズ用の小型の60/2.8とか、あるいはG35-100に相当するFE 70-200/8-11 OSSみたいな手頃な暗黒望遠ズームが出てほしい。(DOFがMFTと同じになろうと、フルサイズ機はフルサイズの絵が出てくることに価値を感じる)(A7Cという今更フルサイズNEXが2020年に出たので、それ用の小型望遠ズームが2021年に出る可能性も1パーミルくらいはあるかもしれない。) 

という流れで、最近は安価に入手できるハイスペック望遠単のSigma 60/2.8 DN Artをフルサイズモードでトリミング前提で使って、擬似的に70-120/3.3-5.6にしている。(ならない) イメージサークルが意外に広くてよい。現像時に4:3も3:2も5:4も選べるのでマルチアスペクト機になった。現像時の判断負荷も爆上がりになる。

F2.8のレンズのときだけなのかもしれないが、A7は暗い場所でSモードとISO AUTOの組み合わせでいると、絞り開放ではなくF4を優先して感度を先に上げる挙動があり、それがだんだん気になってきた。あとやかましいシャッター音が嫌になり、結果的にA7は手放してしまった。使わなくなったカメラと一緒に下取りに追加したらいい感じの額になってしまったので仕方がない。

後継機には

  • ISO AUTO低速限界が設定できる
  • 単焦点でもIBISが効く
  • 無音でシャッターが切れる
  • クロップ(疑似ズーム)が捗る多画素機 

というびっくりするほど都合のいい存在がいる。

A7R2 (ILCE-7RM2)

叩くとEマウントの基本的人権の音がする。いまは圧縮RAW、サイレントモードの設定で様子見している段階。60/2.8 DN Artで試し撮りしたところ、4MPくらいまでトリミングしても破綻せずにいい感じに見えるのですごい。Eマウントのズーム倍率はボディで伸びる。

期待していた部分以外では、タイミングがわかりやすいレリーズボタンと便利な位置のC2, C1ボタンがあり、APS-C機としても使える(APS-C各機の仕様を吟味する必要がなくなる)となれば文句はないでしょう。

レリーズが手持ちのLUMIX Gシリーズに近い感覚で切れるようになって快適。静音シャッターとあわせて、A7初代にあったレリーズ時の変な緊張感はなくなった。(A7初代はいつ切れるかわからず、独特すぎた。)

前ダイヤルと電源レバーの感触の区別はまだつかない。要の機能である管理ファイルの修復がカスタムボタンに登録できないのも不便。 モードダイヤルロックの実装により片手でモードダイヤルが回せなくなってしまったが、ISO AUTO低速限界が使えるので、ひとまずはAモード固定で過ごそうと思う。

A7初代からみたら格段に使いやすいし絵も依然として強いが、これでG100やG8が不要になるかというと、まだそんな雰囲気はない。MFTは思い通りに操作ができるカメラの最小単位として、日常でふらっと使うカメラとしてまだ使い続ける理由があると思う。

といいつつ次の夏頃にはしれっとタムロン28-200mmを買って、スチル用途のMFTが全滅しているかもしれない。まだわからない。

MFTというシステム

MFTは上にも下にも敵が多い。1型センサー搭載のコンデジよりもはるかに大きく、フルサイズ機と比べて撮った結果に物足りなさがあるが、自分が日常的に(撮影が主目的でないときに)持ち歩くのに許容できるギリギリのサイズ感と、自分の思い通りにできる操作性(グリップに不自由しない、操作部材の数と配置が十分、カスタマイズ性がある、応答速度が十分早い)が両立する貴重な選択肢だと思う。 欲をいえば1型センサー搭載のカードタイプのやつで、RX100くらいのサイズで満足に操作できるコンデジが出てほしかったが、G100が出た今となってはどうでもよくなってしまった。

45/2.8 DG DNの影響だと思うが、MFTの設計思想か何かにあった、フレームの端までいい感じに均等に写るレンズが、最近は物足りなく感じられてきた。単焦点よりも、GX14-42PZやG35-100のように周辺の解像度が雑になったり減光があったりするキットズームにはまっている。 フレーム端でのクオリティコントロールの至らなさや設計時の取捨選択に起因する情報量の勾配に(フルサイズの出力に見出される)写真らしさを感じているのかもしれない。

標準レンズのサイズで換算70-200mmが使えるG 35-100/4-5.6という存在がいまだにでかい。他所でも競合が出てほしい。

現像

一時的にSILKYPIXの使用を強制されたおかげで、現像時にホワイトバランスのカラーパレットを走査して、都合のいい色合いになる位置を見つけることに躊躇しなくなった。Capture Oneでも同じことをやるようになった。GF9やG100のRAWの非対応は怪我の功名だったかもしれない。

RAWの時点でいまいちな写真でも好きになれるように現像をがんばっているみたいなことを以前に書いたが、そのあがきの手段がひとつ増えたかたちになる。フレーム内の物を色によって区別判別をしやすくできるし、見えなくて良いものの色をなくして存在感を減らせる。 ホワイトバランスも彩度もグラデーションも黒レベルも、目に入る情報量を調整しているのだなあという気が最近はしている。

現像で絵をいじっている間は時間感覚がない。各パラメータの調整で時間がかかっていることを認識するべき。ごはんを温めながら現像を始めると最終的にJPG出力中に冷めた飯を食べることになる。(お前もそうなるんだよ)

2021年に出てほしいLUMIX G

LUMIX Gのボディは揃ったので、あとは新型機のサイズが性能がボタン配置がというよりは、操作時の挙動がいい感じになってほしい。

  • 前後ダイヤルの機能は、パナ機のAモードなら前が露出補正、後ろが下限SSをダイレクトに変更できるようになってほしい。絞り値はFnかQ. Menuを押すまで変更できなくていい。
  • 前後ダイヤルのどちらかでISO感度を直接変更できるようにしてほしい。
  • ISO感度に割り当てたFnボタンを長押ししたとき、規定のISO感度(Autoあるいは指定値)に復帰するようになってほしい。(これはゲーム脳だが、カメラの操作系もゲームの快適な部分は見習ってほしい。)
  • ISO感度に割り当てたFnボタンを押したとき、前後の電子ダイヤルで変更できる内容を自由に選べるようになってほしい。(G8で前後の機能、ISO感度とISO Auto時の感度上限をいつも間違える。)
  • ISO感度に割り当てたFnボタンを押したあと、上下キーでAutoと固定値を切り替えられる(つまり、どの固定値からでもAutoに変更でき、また、Autoから最後に使った固定値に復帰できる)ようにしてほしい。(現状のAutoが最低感度の左にあるのが解釈違い)  

書き出したら感度の設定法に恨みのある人みたいになってしまった。とはいえ感度も露出を決めるパラメータの1つなので、F値やSSと同等の扱いにしてほしい、設定の作法にもいろいろ配慮はほしいという気持ちがある。

あとは第三のパワーズームが登場してほしい。

  • Dual IS (2) に対応した G X PZ 14-42mm F3.5-5.6 II
  • ズームリング搭載か、ズームレバーの位置を人道的にした G X PZ 14-42mm F3.5-5.6 R
  • パワーズーム版の G PZ 12-60mm F3.5-5.6